閉じこもりの人的環境・居住環境

 いままで述べてきた閉じこもりの原因では、患者や要介護者など本人に原因があったのに対し、本人の外部環境に原因が見いだせる場合がある。環境には、家族や近隣などの人的な環境も、居住環境も含めて考えられる。例えば、閉じこもり状態にある患者を、何とか表に連れ出そうとしても、家族介護者がそれに反対する場合や、段差などが多いにもかかわらず表に連れ出した結果、家族が疲労してしまったりする場合がこれにあたる。この場合には、環境に対する働きかけが重要となる。家族が反対する場合、家族がそのサービスのことをよく知らないで偏見を持っていたり、介護をすべて自分で背負い込んで精神的な余裕を失っているためだったりする。よく説明したり、見学や試しに利用したりすることが、しばしば有効である。また、段差など物理的なバリアが問題となる場合、段差を解消する。車いすで屋内から屋外に出られるように家屋やその周りを改造することは、その費用が介護保険給付に取り入れられて以降、急速に普及している。ケアマネジャーに、これらをケアプランに組み入れるよう依頼する。

 以上、閉じこもり予防のケア・マネジメントを例に、いかに多面的で総合的なアセスメントが必要であるかを見てきた。このようなアセスメントは、問題点を指摘するためのものではなく、いくつか例を示したように、それらが予防策・ケアプランにつながるから必要なのである。