退院・退所時ケア・マネジメント

 

 もう1つ、退院・退所時のケア・マネジメントを取り上げ、ケア・マネジメントの必要性を考えてみよう。ここまで見てきたように、要支援・要介護者とその家族が抱えるニーズは複雑であり、また多くの原因が絡み合って生じているために、ケアプランも、多様な介護サービスを組み合わせることが不可欠になる。

1)退院・退所時ケア・マネジメントの重要性一訪問看護ステーション利用者・家族の調査結果から
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 まず、われわれが行った全国訪問看護ステーション調査の結果に基づき、退院時ケア・マネジメントが不足している現状をみてみよう。3次にわたる調査のち第2次調査では、ステーションから訪問看護を受け在宅療養をしていた利用者を対象とした。 1999年9月から11月の3か月間に亡くなられた1,305人を担当していた看護師に記入を依頼した。この調査はターミナルケアを中心に行った調査ではあるが、訪問看護開始時にすでに終末期であった者は3.2%にすぎず、訪問看護ステーション利用者全体をほぼ反映していると思われる。

 まず訪問看護ステーションがかかわり始めた時期をみると、在宅生活中にADLが低下したため訪問看護ステーションがかかわり始めた群34.4%よりも、病院からの退院患者群の方が58.0%と多い。退院前にカンファレンス(症例検討会)を持つなど、連携が進んでいて訪問看護ステーションが退院前からかかわっていた例が19.4%、退院日にかかわり始めた群が14.2%あるものの、退院後にかかわり始めた群が24.4%と一番多い。訪問看護ステーションで新たに行ったケア・マネジメントの内容を見ると、利用可能な福祉サービスの提示45.1%、日常生活用具の整備が37.2%などである。つまり、本来なら退院までに病院の側で行われるべき援助をしないまま自宅退院をさせている病院がかなりある。

 訪問開始期から安定期に利用していたサービスを見ると、入浴サービス31.5%、ホームヘルパー24.4%、ショートステイ17.7%、デイサービス14.3%などであり、このような福祉サービスについて、医療職も知っておく必要性が高いことがわかる。