医療系翻訳会社

 

 医療・福祉分野で言えば、法人の理事会、病院・施設の管理会・幹部会などが果たすべき機能である。

 (2)ミドル・マネジメント

 医療・福祉で言えば、各フロアーの師長や主任・リーダーにあたる。組織・事業体全体のミッションやビジョンを具体化するために、下位組織(病棟やフロアー)としてのゴールを設定し、それを実現することに責任を負う。スタッフの力を最大限に発揮できるようなチームの編成や人材育成なども、ミドル・マネジャーの重要な機能である。複数ある方法の申から、組み合わせを工夫して、最小限の費用で最大限の効果を引き出して、「配分効率」を高めるのが、ミドル・マネジャーの視点である。

 (3)ローワー・マネジメント

 実際に仕事が行われる現場におけるマネジメントである。医療・福祉で言えば、日々の業務のリーダーやチーフにあたる。その日のスタッフ体制と患者・利用者の状況など、与えられた条件の申で工夫して、問題を解決していく。・生み出すべきものとその方法が決められている範囲内で、最大限の「生産効率」を追求するのが、ローワー・マネジメントである。

 (4)トップ・マネジメントの重要性

 組織・事業体が上手く行っていないとき、その原因が3つのレベルのどこにあるかを分析することが、対策を考える上で重要となる。

 一般に、医療・福祉分野では、トップ・マネジメント機能に問題があることが多いと思う。一つには、ケアの現場からたたき上げたマネジャーが多いことが影響している。マネジメントのレベルが上がるにつれ、果たすべき機能が違うことにとまどい不安になって、それまでやってきた低いレベルのマネジメント機能や現場スタッフとしての仕事に逃げ込んでしまうパターンである。

 もう一つ、天下り型のトップ・マネジメントの場合に、現場のことを知らないために、現場からの支持を得られていないパターンもある。

 トップ・マネジメントが、その機能を果たしていないと、ミドルやローワー・マネジャーからトップに対する不信の声が聞かれるようになる。組織や事業体が大きくなればなるほど、より上位のマネジメント機能がしっかりしていないと、現場に混乱が生じてしまう。

マネジャーとしての研修一自己能力開発が重要である。

3)組織の4つの機能

 トップからローリー・マネジメントまでのレベルを問わず、組織には次のような機能が必要である。これらの多くは、会議やミッティングを通じて行われる。組織運営がうまくいっていない場合、どの機能・会議が不足しているのかを考え、それを強化する必要がある。

 (1)状況認識共有機能

 ケース・カンファレンスのレベルから、事業体としての長期計画策定のレベルまで、職員間での情報・状況認識共有が必要である。情報は、提供され、伝達され、受け止められて、初めて共有される。方法としては、会議や申し送り、あるいは「○○通信」などの広報誌や月報・記録を通じて行われる。ただし、これらの定期的で組織的でフォーマルなルートを通じたオモテの情報だけでなく、非定期で個人的でインフォーマルなルートを通じたウラ情報も重要と言われる。

 (2)意志決定機能

 共有した状況認識を踏まえ、意志決定する機能である。日々の運営や緊急事態に関する意志決定はどんな組織・人でも行っている。しかし、長期的なミッション・ビジョンの論議や決定、それを実現するための戦略や基本計画は、重要であるにもかかわらず、それらがなくても日々の運営は可能であるため、後回しにされていることがある。毎日~毎週、開かれるようなミーティングでは、このような意志決定がなされることはまずない。数年~数力月に1回の会議でなされることが多い。この機能を発揮するには、リーダーシップが必要である。

 (3)方法の標準化と学習・研修機能

 実行段階における方法や手順の統一や標準化のために、いろいろなフォーマットや規定・基準・マニュアル・ガイドラインなどの策定や整備が必要である。また、それらの根拠についての学習や、必要な技術についての研修も不可欠である。さらに、技術進歩や状況の変化に合わせた改訂も必要である。学習や研修は、即時効果が見えにくいが、これがない組織やチームの力は長期的には落ちていく。

 (4)組織維持機能

 組織・事業体によって、何を大切にするのか、何をよきものとして評価する。