水頭症:脳室腹腔連絡術(VPシャント)と腰部髄腔腹腔連絡術(LPシャント)


クモ膜下出血の後遺症として忘れてはならないものに、水頭症があります。広い意味での正常圧水頭症というものには、クモ膜下出血の後で起こる水頭症も入ると考えられています。しかし、狭義の正常圧水頭症というものは、クモ膜下出血などの原因はなく、たんに認知症で起こってくる水頭症をいうようです。

ともあれ、患者にとって重要なことは、まずは水頭症が診断されることであり、次はその処理としての脳室腹腔連絡術(VPシャントといいます)や腰部髄腔腹腔連絡術(LPシャント)によって、高次脳機能が改善するかどうかでしょう。

水頭症というのは脳室が異常に大きくなっている場合を指す言葉といえます。そもそも水頭症の原因は、脳室内で髄液が多量に作り出される場合(脈絡叢の腫瘍などがある特殊な場合)、あるいは脳室系の流れが悪くなったり閉塞がある場合のほかに、最も多いものとしては、髄液の吸収が低下している場合が考えられます。この髄液の吸収の低下はクモ膜下取穴による場合が少ないもので、ほかには髄膜炎の後や、頭頸部外傷後に起こることもあります。

クマ膜化出血後の水頭症は決して少なくない頻度で起こるので、これは当然、髄液腔に出血した結果、髄液吸収機構のどこかが十分に働かなくなるためであろうと思われています。

しかし、クモ膜下出血後の水頭症ではVPシャントをつけると劇的によくなることが多く、多くの施設ではこの手術を行っています。ただし、脳出血脳梗塞のために意識が悪かったり、高次脳機能がひどく侵されている場合にも、水頭症のための手術がなされることはあります。少しでも良くなればという気持ちでしょうが、この場合にはあまり効果がないことが多いようです。