P-Sp(傍大動脈臓側板中胚葉)とニッチェ、血管新生について


<strong>P-Sp(para-aortic splanchnopleural mesoderm)</strong>

P-Spは傍大動脈臓側板中胚葉と訳されます。活字の表すように、胎生9日目前後の背側大同薬の腹側に位置する中胚葉、間葉系細胞層であり、将来脈管の発生する領域です。本領域は胎生105日目以降はAGM(aorta-gonad-mesonephros、大動脈-性腺隆起-中腎)領域と呼ばれ、胎生6~7日に側板中胚葉領域で発生した造血幹細胞、血管内皮細胞の共通祖先細胞、ヘマンジオブラストが胎生9~10日に造血幹細胞に分化決定する領域です。

<strong>ニッチェ(niche)</strong>

生態学的適所と訳され、この概念は、まず血液の試験管内培養において、ストローマ細胞の分泌する因子によって異なる種類の血液前駆細胞の増殖や分化が支持されることから発生した単語です。造血幹細胞の自己複製を選択的に支持するような領域は幹細胞のニッチェであり、本領域の解明は幹細胞の自己複製因子の探索に直結すると考えられます。

<strong>血管新生(angiogenesis)</strong>

既存の血管から新しい血管の分岐が発生する過程を総称して、血管新生といいます。血管内皮前駆細胞が集合し、新しい原始的な管腔構造をもつ血管を形成する過程である脈管形成とは区別されます。この血管新生の過程の開始には、通常血管内皮細胞を裏打ち接着する平滑筋細胞あるいはペリサイトがまず内皮細胞から離脱する必要がありますが、この過程でTIE2-アンジオポエチンのシステムが重要な役割を果たします。