悪性黒色腫、緊張性気胸による死亡症例、児童虐待による骨折症例

悪性黒色腫の死亡症例

悪性黒色腫で死亡した症例です。生前の画像は、脂肪の3か月前のものが最後です。現代の医学では、治療効果が亡くなった場合にはホスピスなどに移行し、積極的な治療が行われません。当然、画像検査なども行われなくなってしまいます。生前の病状を主治医がわかっていたとしても、それは治療が行われている範囲でのことなのです。実際には、治療が終わった後も病気は進行していきます。病気の終末像を知るためにはAiが必要なのです。

この症例では、それほど肺の病変が進行しているとは、主治医も想定していませんでした。普通の病院であってもAiを行い、最後の状態を確認することは、医療の発展のためにも必要です。

緊張性気胸の死亡症例

病院にかかっていたからといって、病気の死因がすべてわかるわけではありません。死因についても同様です。この症例は中咽頭癌という頸部の癌で手術が行われ、退院したばかりでした。退院50日後、息が苦しいという訴えで救急車が運ばれましたが、死亡してしまいました。死亡原因と手術との関連なども考えられましたが、Aiを行い、元の癌とは関係がない緊張性気胸で死亡したことが判明しました。Aiを行わなければ、手術が原因で死亡したのかもしれないという疑念を払うことはできません。この症例のように、治療にあたっていた癌とは別の死因や、全く関係のない脳動脈瘤の破裂などで死亡するケースも実際には数多くあります。Aiを行えば、主治医は遺族になぜなくなったかについて的確に説明でき、遺族も納得します。急変した場合にもAiを行うことで、その原因がわかり、医師と遺族の信頼関係を取り戻すことができます。

児童虐待

生後約半年の児童、着替えさせようと足を引っ張ったら右足をあまり動かさなくなったといいます(実際にはこの程度で骨折は起こりえません)。その後もおむつを交換しようとすると嫌がったため、右足が腫れていることに気づき救急外来を受診。右足の単純X線写真は右大腿骨幹部骨折を示したので、入院となりました。全身骨X線写真を実施した結果、後頭骨、右大腿骨、足骨骨幹部、左脛骨粗面、左脛骨近位部、右第10肋骨の多発骨折を認めました。児童相談所、警察に虐待を通報。父母には、受傷時期の異なる複数の骨折を認めること、患児がまだ移動能力に乏しいこと、骨形成不全を認めないことから、他者による外傷行為が受傷原因となった可能性が高いことを説明しました。事前に児童相談書と打ち合わせ、両親との面談後、保護委託入院となり親族との面談を禁止しました。その後、骨折は順調に回復しました。