トゥレット症候群のチックを制御するメカニズムの発見


トゥレット症候群( Tourette Syndrome ;TS)小児のチック(tics)を制御する脳内のメカニズムが、ノッティンガム大学(University of Nottingham)の科学者により発見されました。

イギリスの医学雑誌『Neuropsychology』に掲載されたこの試験結果は、トゥレット症候群患者を特徴づける反復的な身体運動と発声を克服するための新しい非薬剤療法をもたらすかもしれません。

この試験は、 James Tudor Foundationから£150,000の助成金を受けたものであり、Amelia Draperによって実施されました。

神経学的疾患(neurological condition )であるトゥレット症候群は、子供100人のうち1人で生じており、一般的に幼児期に発症します。トゥレット症候群の小児にみられるチック症は、脳内の誤った神経経路が運動機能を制御する脳領域の興奮性を高めることにより生じると、科学者は考えています。

青年期になると、脳内の余分な結合部が取り除かれ、他の構造的および機能的脳変化が生じます。

この時期に、トゥレット症候群小児の約3分の1でチック症が消失し、別の3分の1ではチック症を効率的に制御できるようになります。しかし残念なことに、残りの3分の1ではチック症に変化がほとんどないか、または変化が全くみられず、成人になっても同症候群に悩まされることになります。

今回の試験ではチック症の制御と、10代における症状の変化に関与する脳内メカニズムの存在が明らかになりました。

同試験では医学チームが経頭蓋磁気刺激( Transcranial Magnetic Stimulation;TMS)という方法を使用しました。この方法では磁場(magnetic field )が脳内を通過して弱電流を生み、これが運動機能を刺激して攣縮反応( twitch response)を引き起こします。

被験者が手を動かそうとする時にTMSを送ることで、研究者は運動前の脳の興奮性変化を測定し、個人間における差異を図表で示しました。

そして、トゥレット症候群の被験者は、同疾患を呈していない同年齢の者と異なり、脳の過活動をうまく調節できないことが明らかになりました。

James Tudor FoundationのCEOであるRod Shawは、「我々が資金提供したプロジェクトが有益な結果を生んだことに満足している」と述べています。