カーブ・アウト(専門病院への委託)、クリニカル・パス

カーブ・アウト(専門病院への委託)

HMOなどのマネジドケア組織が、例えば精神科といった特定の疾患・医療行為を他の専門医療機関に切り分けて委託する契約のことをいいます。

疾病患者数は不明のまま加入者全体を一括して委託する契約もあれば、特定の疾患に罹った患者だけを委託する場合もあり、委託費の支払いは人頭払い(対象者の人数に応じた定額払い)が通例です。たとえば、HMOが加入者1000人の精神科治療についてのみ、あらかじめ定められた一定の金額で一括して専門病院に委託するといった契約です。したがって、HMOはその疾病についての治療をする必要がなくなり、リスクも軽減されます。一方、請け負った側の病院はそのリスクを大量処理によて吸収します。

特定の疾病治療を自社のケアー・プランから外すこのカーブ・アウトによって、マネジドケア組織がクリーム・スキミングといった優良店だけを選別しようとする逆選択が減るのは一つのメリットです。

クリニカル・パス

クリニカル・パスは病院での治療チームメンバー間の役割調整に力点を置いた入院中の患者治療プラン・退院計画です。このプランは幅広い医療サービスを提供する病院において、サービスの計画的提供、重複防止などを通して入院治療の効率性を向上させ、入院日数を短縮して、コストを節減する目的で利用されています。

この手法は、元来はCritical Path Method(クリティカル・パス・メソッド、決定的に重要な道筋を見出す方法)と呼ばれ、プラント建設などで複数の専門職種が集まったプロジェクトを効率的に達成するための経営工学上の概念でした。

これを80年代になって米国の医療界が入院治療の効率的運用を図るために導入した際、クリティカルという表現は「危篤の」といった意味をも有するため、クリニカル(臨床の)という表現に変更されました。もっとも、米国でもクリティカル・パスも通用し、日本では「クリティカル・パス」という表現のほうがむしろ一般的です。