米国の医療フォーカスド・ファクトリーについて


医療フォーカスド・ファクトリーが将来間違いなく成功する理由は、有利な点がいろいろあるからです。第一に、提供する医療の質が高いということ。『アメリカン・メディカル・ニュース』誌の最新号が指南している通り、「『知的資本』の集中はより良い効果を生むに違いないし、また多数の患者を扱うため臨床的基準の開発という困難な仕事も楽になる」と、ある大きな産婦人科ネットワークを率いる医師は述べています。「私たちは医療費支払人や社会に対し、臨床結果データをほとんど無制限に公開できるようになるだろう」。測定評価されたデータが公開されればサービスの質も高まります。

フォーカスド・ファクトリーでは不要な技術や病院設備への投資を減らせるので、コストダウンも可能になります。現在、多くの病院が著明な医師らを引き付けたいがために高度医療技術などの高額設備を導入しています。しかし、こうした医師自身がフォーカスド・ファクトリーを運営する側に回れば、医療技術も餌としてではなく、医療のコスト効率を高めるという本来の目的のために適切に使用されるようになるでしょう。こうした医師らの動きは病院産業の縮小につながります。医師らは施設の供給先としてコスト効率の高い病院のみを選ぶでしょうし、入院日数も患者の治療に必要な日数に絞られるからです。

初期の陣頭払いの開業医グループが、既にこれらのコスト軽減効果を実証しています。カリフォルニア州にある陣頭払いの医療グループ6団体を調べたところ、入院日数の短縮とPA(医療補助者)の活用を増やすなどの革新によってコストが引き下げられていることがわかりました。この研究の時点で、カリフォルニア州では景気後退に伴って雇用と保険加入者が減少していたにもかかわらず、これらの団体が経営するHMO各社は加入者を91%伸ばしています。

フォーカスド・ファクトリーが成功するであろうもう一つの理由は、その構造のおかげで患者や行政や企業が医療機関の価格やサービスの質を比較できるという点です。今日の多目的な病院やグループ診療ではあまりにも多種多様なサービスが、多種多様な条件下で、多種多様な患者に提供されているため、医療コストを個別に算定することは不可能に近いです。年間400万件という米国第一位の医療処置である出産のコストでさえ、特別な研究で出された数字以外には簡単にはつかめません。

一方、フォーカスド・ファクトリーの診療価格は、入院治療はもちろんのこと、外来施設、医師の診療室、薬局、自宅などにおける、一人の患者に要するすべての治療を含むものです。この方式ならば、支払人は一人の患者に必要な医療費一切を含む各フォーカスド・ファクトリーの価格を比較検討できます。また、医療の質に関する評価データも多目的型の医療機関よりフォーカスド・ファクトリーからのほうが入手が容易で、的確に比較評価できます。

このようにサービスの質や価格が簡単に比較できると、フォーカスド・ファクトリー間には激しい競争が起きます。こうした競争が普段のインセンティブとなって、独創性のある企業化はさらにコストや質の面で利益をもたらす新たな運営手順や技術を生み出していくでしょう。

慢性疾患の治療について統一的な運営システムが存在しないために生じている不要な医療支出を、フォーカスド・ファクトリーによって大きく削減できるはずです。フォーカスド・ファクトリーはこうした統一的システムを構築し、患者の生活の質を大いに向上させてくれるでしょう。