Olysio(simeprevir):慢性C型肝炎ウイルス感染症の新薬

Olysio(simeprevir)が慢性C型肝炎ウイルス感染症( chronic hepatitis C virus infection)の治療薬としてFDA承認されました。

Olysioは、C型肝炎ウイルスの複製に必要な特定のタンパク質を阻害するプロテアーゼ阻害薬(protease inhibitor )であり、抗ウイルス治療で使用されます。臨床試験においてOlysioは、ペグインターフェロンα(peginterferon-alfa)とリバビリン(ribavirin)との併用投与でその効果が評価されました。Olysioの投与対象者は、肝硬変などの代償性肝疾患(compensated liver disease )を呈する患者で、以前に治療を受けたことがないか、あるいは治療を受けたが改善しなかった者になります。

「Olysioは、慢性C型肝炎ウイルス感染症を治療するプロテアーゼ阻害薬で第三のFDA承認薬であり、医療従事者と患者にとって効果的な治療選択肢となります」と、director of the Office of Antimicrobial ProductsのEdward Coxは述べています。

2011年、FDAC型肝炎の治療薬としてVictrelis (boceprevir)と Incivek (telaprevir)を承認しました。Olysioは、FDAの優先審査プログラムで審査されました。優先審査は、特定の病気に対して有効な治療薬がない場合に、承認すれば安全かつ有効な医薬品になると期待できる薬剤に認められます。

Olysioの安全性と有効性は、2026名の参加者(治療経験者と未経験者)を対象とした5件の臨床試験で評価されました。これらの試験では被験者を「Olysio + ペグインターフェロンαとリバビリン」または「ペグインターフェロンαとリバビリン」の投与群に割り付けました。そして、治療終了後少なくとも12週間経過した後にC型肝炎ウイルスが血中に存在するかどうか(ウイルス持続陰性化;sustained virologic response)を測定しました。

その結果、「Olysio + ペグインターフェロンαおよびリバビリン」投与群では治療未経験者のうち80%がウイルス持続陰性化を達成し、「ペグインターフェロンαとリバビリン」投与群では50%でした。感染症再発の治療経験者を対象とした試験の一つでは、「Olysio + ペグインターフェロンαおよびリバビリン」投与群の50%がウイルス持続陰性化を達成し、「ペグインターフェロンαとリバビリン」投与群では37%でした。

治療経験者におけるOlysio(オリシオ)の安全性と有効性を調査した別の試験でも、すべてのサブグループでOlysio投与群の奏効率が対照群のものよりも上回っていました。

オリシオの有効性低下は、NS3 Q80K多型を呈する遺伝型1aのC型肝炎ウイルス(米国で一般的に認められるC型肝炎ウイルス株)に感染した患者で確認されました。

C型肝炎は、肝臓に炎症をもたらすウイルス感染症であり、肝不全を引き起こします。C型肝炎ウイルスに感染した人の多くは、肝臓障害が明らかになるまで同感染症の症状を呈することがないため、気づくまでに数年を要することもあります。そして、これらの人の大半で慢性のC型肝炎が発生します。人によっては肝機能低下(肝硬変[cirrhosis])が数年にわたって進行することがあり、最終的に出血や黄疸(jaundice)、腹部の液体蓄積、感染症、肝癌などの合併症を呈することになります。疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によれば、約320万人の米国人がC型肝炎ウイルスに感染しています。

人気のある医薬品になるのかどうか、今後の動向に注目ですね。