類乾癬〔parapsoriasis〕:滴状類、斑状[局面性]、大斑型

 A,滴状類乾癬p. guttata (p. en gouttes)〔Juliusberg 1899]

 1〕慢性型:5~10mm大の境界明瞭な隆起性紅斑→白色鱗屑を被むる丘疹~小結節→色素沈着・脱失を残して消失.つぎつぎと新生して新旧の皮疹が混在する.顔面・手掌足底を除きほぼ全身に汎発.痰痒なし.慢性に経過し数年に及ぶ.組織像は基底層の液状変性,真皮浅層の浮腫と血管周囲性リンパ球浸潤.慢性苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoides chronica).

 2)急性型(Mucha-Habermann 型):軽度発熱・倦怠感を伴い,皮疹は中心陥凹性[痘瘡状]で,小水疱・出血・壊死・潰瘍化を来し,組織学的所見からみて血管炎に属するとされるが,一方類乾癬群に含める考えも強く,本型と滴状型とを合わせてpityriasis lichenoides となし,本型をacuta,滴状型をchronicaと亜分類することもある.

 B.斑状[局面性]類乾癬p. en plaques (Brocq病)

 1)小斑型small plaque type : 体幹四肢に黄紅色の,軽く落屑した,径5cmまでの円~卵円形の斑が対側性に多発.菌状息肉症に移行しない.組織像は海綿状態・血管周囲性リンパ球浸潤などで湿疹に似る.

 2)大斑型large plaque type : より大きく形も不規則で,血管拡張,網状色素沈着,萎縮を伴い,進行して融合し,紅皮症~多彩皮膚状になる.扁平化した表皮内に下方より虫蝕状に単核球が浸入し,液状変性,真皮上層帯状単核球浸潤をみる.

 治療はステロイド軟膏・日光浴・軟X線療法・PUVAメソトレキセート.

 類乾癬の分類:本態的にみてAとB,Cは分けて考えた方が良い. B, Cは前細網症(prereticulosis)として一括,細細症特に菌状息肉症に移行し得る状態として長くコントロールをつづける必要がある.
                                           〔参考〕大斑型に次のような症状が起こった時,菌状息肉症への移行を疑う必要がある.
①浸潤が急に強くなった時,②炎症症状〔潮紅落屑,〕が急に強くなった時,③中央が治癒傾向を示し,馬蹄形~不規則形となった時,あるいは発疹に動きの見えた時,④色素沈着や多
彩皮膚状になった時,⑤ 痒の出現した時.

 C.苔癬状類乾癬p. lichenoides ( = parakeratosis variegata)

 体幹を主とし,褐紅色線状紅斑が網目状に並び,その上特に交叉点に多少の鱗屑を有する苔癬様丘疹が存する.皮膚全体に色素沈着と脱失,萎縮がみられ, Jacobi型多形皮膚萎縮症の臨床像を示すことが多い.長期にわたり反復持続し,菌状息肉症へ移行しうる.網状紅斑・落屑はあるが,色素異常・萎縮の像を欠くものを異型苔癬〔lichen variegatus (parakeratosis variegata)〕として別症となす考えもあったが,最近では落屑性紅斑がゼブラ模様に体幹に生ずる特殊な型を指す傾向にある.

 B,Cには軟X線少量照射, PUVAがきわめて有効.