ジューリング疱疹状皮膚炎dermatitis herpetiformis Duhring

　〔症状〕

　1）前駆症状：発熱・癌痒・灼熱感の先行することが多い。

　2）皮膚症状：紅斑ないしじんま疹様膨疹か発し、次いでその辺縁に環状に小水疱が発生する。小水疱は半米粒大から大豆大までで、健常皮面にも発する。水疱内容は黄色透明、ときに混濁膿疱化し、破れると結痂〔しばしば血痂〕し瘢痕なく治癒する。その他、湿疹様・痒疹様皮疹の混在することあり、治癒後は色素沈着面を残し、多彩な皮疹を呈する。癌痒は激しい。全身皮膚を対側l生に侵すが、とくに肘頭・膝蓋・殿・肩甲・項・被髪頭部に好発する。掌蹠・粘膜は通常侵されず、全身状態も良い。

　3）腸症状〔gluten-sensitive enteropathy〕:90％以上にみられる。空腸絨毛の萎縮性の変化、（絨毛萎縮・固有板にリンパ球形質細胞浸潤3

　4）中年男子に多い。小児にもときにみられ、丘疹小水疱型をとる。

　［病因］結合組織に対する自己免疫〔グルテンなどの抗原と抗体の免疫複合沈着3、ハロゲン特にヨードに対する過敏症〔ヨードを含む甲状腺ホルモンに対する自己抗体の発見もある〕、病巣感染〔慢性副鼻腔炎・慢性虫垂炎など〕など。HLA-B8/DW3/DRW3と相関（？）。

　〔組織所見〕表皮下水疱(subepidermal bulla)。真皮上層に浮腫と著明な好酸球と好中球の浸潤。真皮乳頭に顆粒状lgA沈着。血清中に抗基底膜部抗体
(－)。

　〔診断〕①多彩な皮疹、②血液・組織好酸球増多症、③痰痒、④組織所見、⑤真皮上層のｌｇＡの顆粒状沈着〔granular type〕、⑥ＤＤＳ有効、⑦ヨードカリ反応陽性〔内服による増悪、10～50% KJワセリン貼布による紅斑水疱形成〕、⑧小腸絨毛の萎縮。

　〔鑑別診断〕①類天疱瘡〔水疱大・lgG沈着〕、②妊娠性疱疹〔しばしば困難・C3・lgG沈着〕、③多型滲出性紅斑〔lgA沈着なし〕。

　〔予後〕慢性に経過し、病勢に消長あり。生命の予後は良好。

　〔治療〕①サルファ剤〔DDS、サルファメトキシピリダジン(レダキン)、サルファピリジン〕の併用または単独使用、②止痒剤、③ヨード禁止〔こんぶ・のり・ほうれんそう・ヨード製剤〕、④無グルテン食。

　　　〔参考〕内臓悪性腫瘍の合併もあるので、そのscreeningが望ましい。

　　　linear IgA bullous dermatosis 〔Chorzelski 1977〕

　　　ＤＨとＢＰとの両者に共通する所見あり。顔・外陰・殿・下腹部に生ずる小水疱～水疱で、

　　表皮下水疱、基底膜帯にlgAの線状沈着あり、これはさらに基底板上型(ｌａｍｉｎａ lucida type)と基底板下型(subbasal lamina-anchoring fibril type)にわける。血中抗基底膜部抗体の陽性のこともある。小腸の変化は少ない。ＤＤＳ・サルファ剤・ステロイドに反応。