中毒疹・薬疹:Jarisch-Herxheimer反応、ビオトロピス、菌交替症

 体外性物質が体内に入り、あるいは体内で産生された物質が、生体に障害を与え、その結果発疹を生じたものを中毒疹(toxicodermia)という。原因物質が薬剤である場合、これを薬疹(drug eruption、 Arzneimittelexanthem)という。

   薬剤によるもの:薬疹

   感染症によるもの:細菌・ウイルス・リケッチアなどによる。猩紅熱、異型猩紅熱、伝染性紅斑、デング熱、伝染性単核症、突発性発疹、風疹、麻疹、異型麻疹、小児熱性発疹症〔ECHO、コクサッキー、アデノウイルス〕など〔伝染性疾患〕。食餌によるもの:魚・ソバ・アカザ・毒茸・腐敗食餌・仮性アレルゲン・食品添加物。有毒動物の刺傷によるもの:蜂・むかで・蛇など。自家中毒性:妊娠・悪性腫瘍・代謝障害などによるもの。
 
 1)薬理学的ないし中毒性:蓄積〔銀皮症など〕、過量、低耐容能ないし特異体質、代謝障害、薬力学的作用などによる。二コチン酸アミド→潮紅、ポルフィリン→光毒性、砒素・銀→沈着症。

 2)アレルギー性:薬剤の大部分・抗血清・ワクチン。

 3)薬剤の間接作用:Herxheimer反応、ビオトロピスム(biotropisme Milian)、生態学的機序〔菌交替症〕。

   〔参考〕

   1) Jarisch-Herxheimer反応:抗生剤投与により、既存感染巣の増悪する現象。かつては駆梅療法のさいにしぱしば見られた。

   2)ビオトロピスム:薬剤投与により、ウイルスなどが賦活されて発症〔単純性疱疹・帯状疱疹など〕するもの。

   3)菌交替症:抗生物質投与により腸内細菌が破壊され、ビタミンB群産生が阻害され、

  カンジダ症が発生するような現象をいう。

 原因の分類でもわかるように、薬剤以外で発症するものは、感染症・紅斑症などの各項目に入れられているものが多いので、以下薬疹を中心に述べる。なお食品性の中の添加剤は、広く解すれば薬剤に属するので、薬疹へ入れられるべきものといえる。