顔面肉芽腫、モンドール病、突発性壊疸


顔面肉芽腫granuloma faciale 〔Wigley 1945〕

  顔面に生ずる紅褐色、軟らかい浸潤局面。好酸球・奸中球の浸潤、核破片・フィブリノイド変性を伴う血管炎、山血かおり表皮・毛包との間には侵されない一帯を持つ。 leukocytoclastic vasculitis の慢性型か。

 

 

モンドール病maladie de Mondor 〔1939〕

 主として女子の前胸・腹壁に、縦走する索状皮下硬結で牽引痛がある。長さは数cmから 20cm に及ぶ。多くは1~3ヵ月で自然消失。多くの場合、その付近の外傷・炎症〔粉瘤化膿〕・手術〔乳房切断・開腹術〕に続発し(sclerosing periphlebitis of the chest wall)、リンパ管または静脈の増殖性閉塞性炎症である。男子の冠状溝・陰茎背に発することもある(nonvenereal sclerosing lymphangitis of the penis Hoffmann 1923)。

 

 

突発性壊疽spontaneous gangrene、 Spontangangran

 〔同義語〕閉塞性血管炎(thrombangitis obliterans ; TAO)、バージャー病(morbus Winiwarter-Buerger)

 〔症状〕25~45歳の男子を侵し、女子・老人にはまれ。下肢〔ときに上肢も〕片側性に倦怠感・冷感・蒼白化あり、次いで間欠性跛行(intermittierendes Hinken、claudicatio intermittens)を生ずる。患肢末端に疼痛が反復、有痛性皮下結節〔遊走性血栓性静脈炎thrombophlebitis migrans、 約30%に〕の先行・反復もあり、完全血管閉塞では疼痛のため横臥できない[起立によりhydrostatischにやっと血行がみられる]。患肢末端にチアノーゼ・紅斑・小出血をきたし、やがて壊死におちいり回復しない。壊死は趾・足・踵、ときに下腿に及ぶ。

 〔組織所見〕中・小動脈の高度の内膜肥厚・内腔狭小化、内弾性板の迂曲・断裂。

 〔病因〕大きな動脈[および静脈]の閉塞で、喫煙が最も影響する。自己免疫説

 〔抗動脈抗体〕・HBウイルス・梅毒・マラリア・チフス・内分泌障害の関与もいわれている。 HLA Bw5 2、 B5にリスクが高い。

 〔治療〕喫煙厳禁、寒気をさけ局所を清潔にする。血管拡張剤投与、交感神経切断も多くは一時的効果で、断趾・肢をつぎつぎと必要とする。