クインケ浮腫 oedema Quinckei について

 〔同義語〕急性限局性皮膚浮腫oedema cutis circumscriptum acutum、 血管神経性浮腫oedema angioneuroticum、 血管浮腫angioedema

 〔症状〕急に限局性の浮腫を生じ、数時間~数日持続する。食思不振・胃腸障害・頭痛などを前駆症とすることもある。通常皮膚色~淡紅色~蒼白色で少し硬く(teigig)、豌豆大~手掌大で、ときに熱感・瘢痒を伴う。顔面[眼瞼・口唇・頬]に好発し、まれに粘膜〔咽喉頭~呼吸困難〕にも発する。かかる発作が年余にわたり反復する。

 〔病因〕1)非遺伝性:じんま疹と同じくヒスタミン、セレトニン、その他の血管作働性ペプチッドの作用による。作用部位はじんま疹〔真皮〕より深く皮下組織。

 2)遺伝性:hereditary angioneuroticedema [HANE〕〔Osier 1888]。常染色体性優性遺伝。血清中CI阻害因子の活性低下ないし欠損。わが国では10数家系。

 〔予後〕1)は加齢とともに軽快、2)は軽快傾向なく、常に声帯浮腫の危険がある。

 〔治療〕1)はステロイド、抗ヒ剤、エフェドリンに反応。2)はメチルテストステロン、抗プラスミン剤、鎮痛剤、ときに気管切開。


Side Memo

 ヘブラ痒疹(pr。 chr。 Hebra)は古くからある病名であるが、今日では特に独立性は認められず、多くはアトピー痒疹ないしは悪性リンパ腫に併発した痒疹と考えられている。

Side Memo

 Muckle-Wells症候群〔1962〕①じんま疹様発疹、②悪寒一発熱・膝関節痛・胸内苦悶・じんま疹様紅斑の発作〔Aguey bouts〕、③感音性難聴、④腎障害、⑤アミロイドーシス、⑥血沈促進、⑦白血球増多、⑧7-グロブリン〔およびa2-グロブリン〕増加、⑨その他〔緑内障・結膜炎・斜視・窪足・皮膚肥厚・バチ指・性欲低下〕を示す常染色体性優性遺伝性疾患。


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 ウイルス性肝炎の初期にじんま疹様皮疹・環状紅斑・紫斑等を生ずることがある。B型肝炎では5%に皮疹を生じ、その大部分はじんま疹様皮疹で、24時間以上持続し、血管炎像・補体低下がみられICの関与が考えられる。 STDとしてのB型肝炎の増加している今日、初期症状として注意を払う必要がある、