爪下外骨腫、粘膜粘液嚢腫

爪下外骨腫exostosis subungualis

 主として第1趾末節(まれに他の指趾;の爪下の内側に生ずる淡紅色,弾性硬,半球状の腫瘤.爪甲は二次的に変形する.骨膜下未分化閧葉組織の過誤腫か.爪下疣贅・クロームス腫瘍・ボトリオミコーゼ・剌爪と鑑別を要する.切除.
                    

粘膜粘液嚢腫mucous cyst of the oral it!ucosa〔付図26-39〕

   主として下口唇まれに頬粘膜・舌に生ずる,ドーム状隆起を示す,直径2~10 mmの軟らかい腫瘤.切開すると粘液が出る.粘液腺排泄管が破れ,シアロムチンが粘膜下に貯留し,まわりに好中球・リンパ球一線維芽細胞・マクロファージ・毛細管が増殖して壁状となる.ジアスターゼ抵抗性PAS陽性,ヒアルロニダーゼ・抵抗性アルシヤンブルー・コロイド鉄陽性.

10.指趾粘液嚢腫digital mucous cyst

 指〔ときに趾〕の末節背面に生ずる,やや透明なドーム状に隆起した直径10mmまでの脯瘤.外傷先行が多い.ムチン〔ヒアルロン酸〕沈着あり,その中に裂隙~嚢腫を形成する.内にあり下床に対して可動,小さい,指末節背面に発生,圧迫しても散らないなどの点でガングリオン〔膣鞘や関節嚢のヘルニア状嚢腫〕と区別される.関節運動による伸展圧迫,機械的刺激〔外的・下床にHeberden結節〕により線維芽細胞が刺激されヒアルロン酸の過生産を来したと考えられる.

 〔付〕ガングリオンganglionの発生病理には①滑液膜ヘルニヤ,②滑液膜異所性化生,③膠原線維の粘液変性等の説がある.


〔A〕 肉  腫

比較的単一な細胞成分よりなり,ほとんどが非多中心性に発生する.

01.線維肉腫fibrosarcoma

 真皮・皮下組織に発し,皮内結節として硬く触れ,急速に発育して表面凸凹,結節状隆起を来し,まれに潰瘍化,衛星転移(satellite lesion}および血行性転移〔特に肺〕をきたすが,リンパ節転移は少ない.腫瘍細胞が綾織り模様状に並ぶ.

2.脂肪肉腫liposarcoma

 大腿・膝に好発,境界不明瞭な結節となる.血行性に肺・肝に転移.

3.粘液肉腫

  皮下に発し,線維肉腫・脂肪肉腫・軟骨肉腫などの問質が粘液変性をきたしたものおよびムチン様物質分泌の強い線維肉腫.

4.平滑筋肉腫leiomyosarcoma

  ①皮膚型:単発性結節で疼痛あり.転移まれ.

 ②皮下型:びまん性隆起を示し,血行性に主として肺に転移.いずれもまれ.