〔悪性〕リンパ肉芽腫症

〔悪性〕リンパ肉芽腫症 lymphogranulomatosis cutis (maligna)

〔Sternberg-Paltauf〕

 〔症状〕①発熱とともにリンパ節の系統的腫脹C特に頚部リンパ節〕を来し,一方脾・肝腫をも伴う.②皮疹は多彩で,特異疹[腫瘍細胞の浸潤があるもの]・非特異疹〔反応性皮疹〕に分かつ.

 1)特異疹:5%以下にみられ,まれに皮膚に原発.結節,浸潤性局面のことが多く,また潰瘍化し,さらに皮下結節・丘疹・紅皮症ともなる.

 2)非特異疹:痰痒症・じんま疹ないし紅斑・痒疹・湿疹様病変・紅皮症・色素沈着・後天性魚鱗癬・多彩皮膚など.

 3)二次的に,ウイルス〔帯状疱疹〕・細菌・真菌感染の併発.

 〔組織所見〕4期に分かつ〔Lukes et aL 1966〕.

 1)リンパ球優位型lymphocytic predominance : リンパ球〔および組織球〕が多く,好酸球・好中球・形質細胞は僅少または欠如.壊死や線維化もない.少数の未熟ないし異型の単核球とステルンベルク・リード巨細胞(Sternbeig-Reed giant cells :SR)がみられる.

 2)結節性硬化型nodular sclerosis : 膠原線維が帯状に走り,その問に異型単核球の集塊が結節状に存在,SRは少ないが,大きな明るい細胞(lacunar ce川が多く,これにリンパ球・好酸球・好中球・形質細胞・線維芽細胞・組織球が多数あり,壊死もときにみられる.

 3)細胞混在型mixed cellularity : 多数のSR・リンパ球・好酸球・好中球・形質細胞・組織球・未分化異型単核球の増殖,壊死一線維化も存するが,膠原線維の帯状層はない.


 4)リンパ球消失型lymphocytic depletion : リンパ球はほとんどなく,SRが大部分で線維化もみられる.

 1) 2)は宿主の防御能が強く,治療にも比較的良く反応して予後も良いが, 3) 4)の時期に入るとこれに反して予後が悪い.

   SR細胞:直径15~45μm の大きな細胞で,多核または多房性核を有し,2核のときはmirror imageを示す.核小体は大きく好酸性または無構造に染まり,周囲にクロマチンが少なくhaloをなす.

   lacunar cell : SR の一型で原形質は明るく抜け,中央に多核小体を持つ多房性核を持つ.

 〔病因〕形態的にリンパ球に似るがマクロファージ由来の腫瘤.

 〔検査所見〕T細胞機能不全のため,細胞性免疫の低下があり,一方B細胞機能は末期を除き侵されないので,lgは正常域内に留まる.