中毒疹・薬疹:じんま疹型、紫斑型、日光疹型、湿疹型など

6。じんま疹型urticaria-type drug eruption

 急性じんま疹の症状を呈し、全身症状〔発熱・呼吸困難・胸内苦悶・腹痛・嘔吐〕を伴うことが多く、注射〔輸血・ワクチン・ペニシリンなど抗生物質〕が原因のことが多い。

7。紫斑型purpura一type drug eruption

 小紫斑が四肢体幹に左右対側性に多発し、丘疹・紅斑が混在する。また血液障害〔血小板減少および機能異常〕・蛋白尿・関節痛・発熱・胃腸障害・心血管症状・神経症状を伴うこともある。作用機序として血小板減少・機能異常〔インドメタシン・金剤・抗生物質・サルファ剤〕、血管炎〔ペニシリン・サルファ剤・フェニールブタゾン・経口避妊剤〕などがあり、一般に高年者に多い。

8。日光疹型photosensitive drug eruption

 露出部[顔頚・前腕仲側・手背・前胸三角部]に①びまん性紅斑・腫脹を来たすひやけ型[光毒性]と、②紅斑・丘疹・漿液性丘疹と多彩な像を示す湿疹型〔光アレルギー性〕とがあり、しばしばあとに、白斑黒皮症(leucomelanodermia)のような醜状を残す。降圧利尿剤・サルファ剤・抗精神薬・経口糖尿病剤などによることが多く、従って高年者に多い。

9。湿疹型eczema-type drug eruption

 びまん性潮紅・小丘疹・漿液性丘疹・小水疱・落屑よりなる。比較的広範囲な病変で、現症だけでは湿疹と区別しがたいことがある。掻痒強く、かつリンパ節腫脹をみ、軽度の発熱をみる。皮膚貼布反応は陽性に出、組織学的にも湿疹像である。抗原の皮膚接触で感作された場合が多い。

10。座瘡型acneiform drug eruption

 臨床像は尋常性座瘡のそれにほぼ一致するが、体幹〔肩甲・上肢伸側・殿・胸〕に汎発し、年代を問わない。面胞形成少なく、丘疹・膿疱が主体で、原因薬中止で比較的早く消退する。 ステロイド・ACTH によるものをステロイド座瘡(acnesteroidica)といい、ヨード・ブロム剤によるものは膿疱性で炎症が強い。油症(yusho)はPCB (polychlorbiphenyl)の経口摂取による集団事故のヨード座瘡である。