うっ血性紫斑とアナフィラクトイド紫斑の症状、組織所見、治療

うっ血性紫斑stasis purpura、 purpura orthostatica 〔Schultz 1918〕

 〔症状〕内圧上昇によるもので、下腿[ときに前腕]に多い。大部分が静脈瘤性症候群あるいは動静脈瘻の1部分現象として生ずる、下腿下1/3に小出血斑が多発、ヘモジデリン沈着と化し、融合して黄褐~暗褐色斑となり、浮腫・硬化を伴いときに乳頭状に隆起したり、潰癪を形成する。

 〔組織所見〕毛細血管増殖・血管壁肥厚・出血・ヘモジデリン沈着・血管周囲性リンパ組織球浸潤・膠原線維増殖。

 〔治療〕基礎疾患の治療。

 


アナフィラクトイド紫斑anaphylactoid purpura その他、皮膚結節性動脈周囲炎・皮膚アレルギー性血管炎

anaphylactoid purpura〔Schonlein-Henoch〕

 〔症状〕


 1)前駆症状:頭痛一発熱・倦怠感・関節痛〔足・膝〕。

 2)皮疹:主として下腿一足背に、点状~爪甲大の紫斑が多発、硬く、わずかに隆起した紅色丘疹となる。まれに小水疱が混在。経過とともに、鮮紅→紫紅→紫青→黄色と変ずる。ときに大腿・上肢、さらには口腔〔口蓋・歯肉・頬粘膜〕・鼻腔をも侵す。

 3)全身症状:発熱・けいれん・血尿・蛋白尿・腹痛・下痢・下血。

 4)分類:次の3型に分けられる。

  a)単純型purpura simplex : 皮疹のみ。

 全身症状を欠く軽症。若い女子に多い。

  b ) Schonlein型p。 rheumatica : 関節症状〔腫脹・疼痛〕が強く皮疹も多型。

  c) Henoch型p。 abdominalis : 腹痛〔胱囲〕、下痢、下血、嘔吐など腸症状が強い。まれに腸穿孔。

 5)検査所見:血小板正常、凝固系正常、血沈促進、7-グロブリン上昇、好酸球増多、血中IgA ・ IgAIC 上昇、 CRP 陽性、 ASLO値上昇、血管壁・腎糸球体にlgA・C3の沈着。

 〔病因〕細菌〔とくに溶連菌上気管感染症に続発〕・薬剤〔ペニシリンアスピリン〕・食物Cミルク・卵〕に対するアレルギーもしくは自己免疫による免疫複合体病

 〔IC沈着によるleukocytoclastic vasculitis〕。

 〔組織所見〕真皮浅中層の浮腫と小血管壁の内膜膨化・フィブリノイド変性・血管周囲性多核白血球浸潤・出血、白血球核崩壊など壊死性血管炎の像・ IgA・C3沈着。

 〔予後〕反復することはあるが一般に良好。腎炎[メサンギウムにlgA沈着]併発に最も注意する。まれに腸出血、脳出血で死亡。

 〔治療3 ①安静、②アスピリンNSAID・抗プラスミン剤、③重症にはステロイド剤・免疫抑制剤、④感染病巣の処置〔抗生物質投与・剔除〕。⑤腎炎発生のチェックと処置、⑥血漿交換療法。