鉄剤とハーブでボケを治す

鉄剤

 体内の鉄が不足するとアルミニウムが神経細胞に取り込まれやすくなり、神経細胞死が起こりやすくなるとの説があります。また、鉄剤は脳の血流を増加させ、アルツハイマー型痴呆に有効であるとする報告もあります。特に遺伝的要因の大きい家族性アルツハイマー型痴呆には鉄剤投与の効果が大きく、ビタミンCとの併用で症状が改善した、あるいは発病を遅らせることができたことが報告されています。

■ハーブ

 アメリカでは予防医学の発達にともなって、ハーブ療法などの研究もさかんに行われ論文が掲載されています。それによると、イチョウ葉を含めた四種類のハーブが、臨床的レベルでアルツハイマー型痴呆への効果が期待できると紹介されています。一例をあげれば、ナルシサス(ヒガンバナ科スイセン属の一種)というハーブに含まれるガランタミンという成分には、アセチルコリンエステラーゼを阻害する作用のあることがわかっています。このガランタミンについては、次世代の抗痴呆薬として臨床試験が進められていましたが、二〇〇一年三月にアメリカでは抗痴呆薬として認可されました。日本でも、数年以内に認可されることが予想されます。また、ガランタミンには二コチンの受容体に対する作用があることから、タバコを吸う人にボケが少ないという報告もあり、なかなか興味深いハーブです。二コチンというと、悪の代名詞のように聞こえますが、二コチンは記憶力や集中力を増大させることが動物実験で確認されています。それどころか、二コチンそのものが神経伝達物質として人間の脳内で重要な働きをしていると現在では考えられているのです。科学的な証明はまだなされていませんが、これらのハーブがアルツハイマー型痴呆の治療にある程度の効果が期待できるとするデータは少なくありません。面白いことに、アリセプトそのものが二コチンの作用に影響を与えることがわかっています。