2014-06-25から1日間の記事一覧

認知症であっても、できることはやってもらう

これもイメージの問題ですが、痴呆というと、何もできなくなり、あらゆることの世話をしなくてはならないかのように思い込んでしまう人が多いのではないでしょうか。なかには、痴呆と聞いただけでパニックにおちいってしまう家族もいるかもしれません。 もち…

介護の四原則

竹内孝仁教授(日本医科大学第二病院リハビリテーションセンター)は介護の原則として次のようなことを提案しています。 第一は、「ともにあること」です。これは、患者さんを異常な人とみなして第三者的な態度で接するのではなく、その不安やとまどいなどに…

介護のイメージにある勘違い

誰が考えても大変であるということは推測がつく介護ですが、実際、介護者は患者さん以上に辛く大変な状態にあると言っても過言ではありません。社会システムが物理的に整備されても、そこで働く人々の心身が正常に維持され得る状況がなければ、どんなにすぐ…

ボケに植物療法は有効か

食生活も痴呆の症状に関係があると考えられています。オランダでの研究では、魚を食べる頻度が高い人は脳血管性痴呆のみならずアルツハイマー型痴呆の発症率も低くなるとされています。 アルツハイマー型痴呆の患者さんの脳に炎症があると考えられていること…

非薬物療法としての心理療法の効果

根治療法はまだないとしても、訓練やリハビリテーションによって残された能力を少しでも活用できるようにし、またその結果として痴呆症状の進行が多少でも抑えられれば、患者さんにとっても介護者にとってもよいことです。 現在、さまざまな心理療法が行われ…

中核症状への効果が期待される新薬

中核症状を改善し病気の進行を抑える薬剤として、日本ではアリセプトが実用化されたばかりですが、このほかにも今後さまざまな薬剤が実用化されてくることが予測されています。これから出てくる可能性のあるアルツハイマー型痴呆の中核症状に効果が期待され…

周辺症状に用いる薬剤

周辺症状は薬剤によって回復することが多く、使用できる薬剤もさまざまあるので、症状に合わせた対症療法が一般に行われています。先に述べたように、周辺症状には、陽性症状と陰性症状があります。 不安、焦燥、興奮、大声、暴力、幻覚、妄想、徘徊などの陽…

鉄剤とハーブでボケを治す

鉄剤 体内の鉄が不足するとアルミニウムが神経細胞に取り込まれやすくなり、神経細胞死が起こりやすくなるとの説があります。また、鉄剤は脳の血流を増加させ、アルツハイマー型痴呆に有効であるとする報告もあります。特に遺伝的要因の大きい家族性アルツハ…

抗炎症鎮痛薬、ビタミンE、女性ホルモンはアルツハイマー型痴呆の補助的薬剤

中核症状に効果のあることが証明された薬剤はアリセプトだけです。しかし、ほかにもいくつか可能性のある治療法があります。 痴呆の中核症状とは脳の病変自体によって起こる記憶障害など、認知機能の低下による症状をいい、周辺症状とは、中核症状によって周…

2cm以上の脳溝が14本ほどあればアルツハイマー

CTやMRIは、早期のアルツハイマー型痴呆の場合、加齢による生理的な脳の萎縮との区別ができないので、あまり役に立ちません。 ただし、非常に初期の段階で見られる海馬の萎縮については、視覚的にはわからなくても、MRI画像から萎縮部位の面積や体積を…

「ミニメンタルステイト試験(MMSE)」「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」「N式構神機能検査」

記憶や知的機能の障害が年齢相応の現象なのか、病気によるものなのか、診断が下しにくい場合、あるいは問診が十分にできない場合、付き添いがなく患者さん一人で来院したような場合などは、各種の知的機能検査(知的評価スケール)を行うこともあります。 ま…

痴呆の始まりの兆候

初期の初期をより具体的にどのようにとらえるべきでしょうか。 アルツハイマー型痴呆の初期の初期とは、見落としてしまうような小さな記憶障害だけがあって、その他の認知障害がまだ出ていない段階のことを指しています。 私か考えるには、これは本人が気づ…

認知症の診断方法

医療機関では実際にどのような検査によってアルツハイマー型痴呆かどうかの診断を確定するのでしょうか。 現時点においては、知的機能検査、心理テスト、画像診断などを組み合わせて総合的に判断する方法がとられています。 まず、最初に行うのは問診です。…

中等度、重度のアルツハイマー型痴呆とは

症状が中等度にまで進行すると、記憶障害が進展し、新しいことを記憶できないのはもちろん、過去のことも部分的に思い出せなくなります。そのために過去と現在が入り混じって混乱してきます。 見当識の障害も進み、時間だけでなく場所もわからなくなります。…

高齢者のうつ:薬

うつ状態はアルツ(イマ-型痴呆の周辺症状として、その進行の過程で出現する場合もありますが、それとは別に高齢者のうつは増える一方です。 老いていくことのさびしさや、仲のよかった先輩や友人に次々と離別し、やがては自分も無に帰っていくこと、つまり…

アルツハイマー型痴呆とは

アルツハイマー型痴呆の診断基準は、記憶障害とともに、他の認知障害(失語、失行、失認、実行機能障害)のうち少なくともどれか一つが該当することとなっています。 ここで言う「失語」とは言葉の障害、「失行」とは、いろいろな動作を行うことができない状…

アリセプトの副作用

比較的早めに出現してくる副作用としては、主に吐き気、胃のもたれ、食欲不振など、消化器系の症状があげられます。多少の食欲不振であれば、そのまましばらく様子を見ますが、吐き気を強く訴えたり食欲の減退がひどい場合は、ドンペリドン(商品名=ナウゼ…

神経細胞についての間違った医学の常識

さまざまな実験、研究が行われているのは、医学そのものがそれこそ日進月歩の勢いで進歩発展しているからです。そのため、。昨日の常識は、今日の非常識”といったようなことも起こり得るのです。 たとえば、従来の医学の常識では、神経細胞というのは一度死…

アリセプト:なぜ初期からの服用が肝心なのか

アルツハイマー型痴呆に対する関心が高いアメリカでは、日常生活に症状がまだあらわれていない初期の初期の段階から、心理テストなどによってその兆候が認められればただちにアリセプトを使おうという動きが見られるようです。 それをさらに進め、たとえば正…

アリセプトは初期の段階での服用が肝心

米国老年構神医学協会(AAGP)、アルツハイマー病協会(AA)、米国老年医学会(AGS)は共同声明のなかで、アリセプトについて、 ①作用持続時間が長く、一日一回の投与で十分であること ②早期から投与できること ③常に肝機能検査をする必要がないこ…

認知症は遺伝するのか

このように、アルツハイマー型痴呆の病態は神経病理学的に明らかになってきていますが、その状態がどうして起こるのかという根源的な理由はまだほとんど解明されていません。そこには、遺伝的な原因、あるいは炎症やホルモンに関係した生化学的な原因が考え…

アセチルコリンの減少

老年期のアルツハイマー型痴呆の根本的原因はまだほとんど解明されていないのが現状です。しかし、脳内に異常があらわれ、最終的に神経細胞の脱落や変性が起こり、その神経細胞が果たしていた機能が失われていくことはどうやら間違いなさそうです。 では、痴…

アルツハイマー型痴呆の脳にはどのような変化が起きているのか

アルツハイマー型痴呆とは具体的にどのような病気で、患者さんの脳の内部ではいったいどんなことが起こっているのでしょうか。 アルツハイマー型痴呆で死亡した人の脳には病態生理学的ないくつかの特徴が見られることがわかっています。第一は「老人斑」です…

アルツハイマー型痴呆の忘れ方の特徴

ものごとの記憶には、情報をインプット(記銘)し、それが保持され、後で思い出す(想起)、という三段階があります。たとえば、生理的な老化にともなうもの忘れでは、特に最後の段階の思い出す作業ができにくくなりますが、本人にはその自覚があります。ま…

記憶システムでの海馬の役割とは

脳のなかで記憶はどのように形成されるのでしょうか。たとえば、目で何かを見たり、耳で何かを聞くといった形で外からの情報が入ってくると、その情報は一時的に大脳辺縁系にある海馬に保存されます。これは数分問だけの「即時記憶」です。即時記憶とは、ア…

脳の構造と記憶の形成

脳はまず大脳と小脳に分けられます。大脳はさらに大脳半球と脳幹に分けられます。大脳半球は左右一対の右脳と左脳から成り、そこでは、感覚情報を受け取り、それにもとづいて思考・判断ご記憶し、全身に指令を発するという高度な作業が行われています。大脳…

うつ状態と痴呆を見分けるコツ

痴呆が脳の器質的な障害であるのに対し、うつ状態は脳の機能的な異常です。ただ、老人性のうつの場合は、その背後に加齢による神経細胞の脱落など、いわばハードウェアにあたる部分の問題もあるという特徴があります。さらに脳の機能的な異常は、心理的な原…